〔88年度の目標〕ツァール転座とフォスフォグリセロールカイネース(PGK)の変異体を組み合せ母由来の正常X染色体(PGKIB)が常に発現され父由来の変異体PGK-1Aガライオンゼーションにより発現されない雌マウスを3群設定することが第1の目標であった。第2の目標はPGK-1A、Bのアイソザイムパターンを等電点電気泳動により分離し臓器による発現の様相を明らかにすることであった。 〔88年度の達成段階〕第1の目標については達成した。現在合計45匹の該当マウスが得られておりすでに老化実験に入っている。これ等マウスの遺伝型確走のために、1匹毎に尾より血液を採取しPGK-1A/1Bのアイソザイムパターンの同定を行った。この内PGK-1Aのみ発現されている雌個体を選び実験群に用いた。第2の目標についても達成され、幾かの新知見が得られた。まず該当マウスの臓器毎のアイソザイムパターンを調べた所、予想通り脳、肝、腎、肺、子宮、脾で血液と同様PGK-1Aのみが発現していることを確認した。この際同腹の雌マウス、雄マウスを対照として調べた。雌マウスにおいてはツァール転座を持たないPGK-1A/1Bが約半数認められ、臓器によりPGK1A/1Bの発現量は差異が認められなかった。また同腹の雄マウスについては上記臓器の外1n細胞にも注目検討した所、2n細胞より成る臓器においては予想通りPGK1A、あるいは1Bの1つのタイプを示したが、1n細胞を含む睾丸においてはPGK-1の外新たなアイソザイムが認められ、その後の検索の結果、本酵素は成熟精子にのみ認められるPGK-2と同定された。 〔89年度の課題〕当初目標通りPGK-1A/1B、6ヶ月群及び1年群を屠殺しライオニゼーションの解除の有無を検討する。さらにウエタンブローティング、ノーザンブローティングなどでより詳細な検討を行う。
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