研究概要 |
〔当初目標〕加齢により発現が抑制されていたX染色体の再活性化が生じるか否かをツア-ル転座を持ってマウスを用い検討した。またこの外、64年度においては障害肝におけるアロザイムパタ-ンの変化、及び睾丸PGK-2の活性変化と睾丸毒性などの関係が本研究の進展とともに明らかにされて来た。 〔研究の概要〕 1.加齢による抑制X染色体の再活性化:64年度の18ケ月齢マウスを用いた検討では、抑制されたX染色体上のPGK遺伝子の再活性化を示す所見は得られなかった。PGK遺伝子群のメチル化の程度を、HapIIとMapIの2つの制限酵素を用いて検討した所、PGK遺伝子群のメチル化の程度は臓器により異なることが判明した。即ち肝ではメチル化の程度は軽いがその他の臓器(心、脳、睾丸,脾)ではメチル化されていた。今後加齢とPGK遺伝子のメチル化の程度を検討することが望まれる。 2.肝障害によるアロザイムバタ-ンの変化:老化過程で種々の程度の肝細胞障害が生じる。これにより細胞クロ-ンの変化が生じることが考えられる。そこでPFKのアロザイムパタ-ンの変化と肝細胞障害を起こさせ検討した。肝細胞障害物質として四塩化炭素を用いた。その結果、肝のPGK-アロザイムパタ-ンは変化するとの結果を得た。このことより加齢過程においても、同様の機序によりクロナリティ-が変化することが示唆された。 3.睾丸におけるPGK-2と睾丸毒性:PGK-1との分離定量化を確立し、PGK-2が睾丸に特異的に検出されることを見出した。さらに、この性質を利用し、種々の睾丸毒性のメカニズムの解明を行った。
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