広島県下で最も多く使用されている除草剤の1つであるCNP乳剤について、メダカ及びマウスに対する影響を検討した。材料及び方法を以下1〜3に示す。1.メダカ卵暴露実験:市販のヒメダガ成魚を室内飼育し産卵させた。得られた卵を210、50、100ppmのCNPを含む乳剤液に各々受精後5日間暴露した後、脱素水道水でふ化するまで飼育し、ふ化率及びふ化、仔魚の形態を観察した。 2.メダカ成魚暴露実験:市販のヒメダカを室内水槽で10日間馴致した後、20尾ずつ無作為に取り出し、5、10、20、40、80ppmCNPの乳剤液に48時間暴露し、生残率を求めた。 3.妊娠マウス授与実験:CNP1g/kgあるいはオリーブ油(対照)1g/kgを妊娠マウスの背部皮下に妊娠第6日目から第15日目まで連続投与し、妊娠第18日目に開腹して胎仔を観察した。また自然出産した産児(対照区52尾CNP投与群65尾)についてそれらの体重を5週間にわたって観察した。これらの実験の結果、メダカ卵に対しては2ppmCNPの乳化剤液でもふ化率の低下及び異常仔実率の増加が認められた。成魚の急性毒性実験では40ppmCNP乳剤液でしその生残率が顕著に低下した。妊娠マウス投与実験では対照群の胎児体重に比較し、CNP投与群のそれは有意に小さかった。CNP投与群では対照区に比較して妊娠率は低く、死胚率及び骨格異常率は高かった。しかし、母獣の死亡、母獣当たりの生胎仔数、外形異常についてはその両者間に大きな相違は認められなかった。産児の成長観察実験では対照群に比較し、CNP投与群の体重は生下時では有意に大きかったが、第2週及び第5週では有意に小さかった。CNP投与群の産児体重が生下時で大きかったのは妊娠期間がその群で対照区で1日長かったことによるものと考えられる。本研究はCNP乳剤の分解液の毒性を検討するための基礎的知見を得るために行われたものである。今後CNP乳剤分解液を用いて同様な実験を行いそれらの結果を比較検討したい。
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