研究概要 |
市販のCNP乳剤(ジフェニルエ-テル系除草剤)の未分解液、その有効成分の約50%が分解するまで太陽光に暴露して得られた分解液、あるいはCNP標準品液を桑実期のメダカ卵に5日間暴露し、孵化仔魚の数及び形態を観察した。更に成魚に対してそれらの試験液を24あるいは48時間暴露して、その生残数を観察した。また各々の試験液中のCNP濃度を暴露後3,6,12および24時間に定量し、その変化も併せて観察した。 得られた結果は以下のとうりである。(1)メダカ卵の孵化に及ぼす影響:孵化率は対照区(87%)に比較して8ppmのCNPを含有する未分解液区(31%)、分解液区(57%)では有意に低かった。(p<0.01)。また未分解液区及び標準品液区の孵化率はほぼ等しかったが、分解液区の孵化率はそれらに比較して有意に高かった(p<0.01)。(2)孵化仔魚に及ぼす影響:異常孵化仔魚の発生率は対照区では0%であったが、8ppmのCNPを含む未分解液区では65%と著しく高く、ついで標準品液区の13%、分解液区の4.7%であった。未分解液区のその発生率は他の二実験区のそれに比較して有意に高かった(p<0.01)。(3)成魚に対する急性毒性:4ppmのCNPを含む未分解液区及び標準品液では24時間後の生残率は各々60,47%であった。一方分解液区では24及び48時間後の生残率は各々100%で前二者に比較して高かった。(4)試験液中のCNP濃度の変化:未分解液及び標準品液では24時間後の試験液中のCNP残存率は60-70%であった。分解液のそれは10%以下であったが、減少分のCNPは試験容器壁に残存したことが認められた。 以上の結果から、CNP標準品はメダカ卵及び成魚に対して未分解CNP乳剤とほぼ同等の毒性を示すことが明らかになった。しかし分解液では試験液中のCNP濃度が急速に低下したためその毒性を正しく比較することはできなかった。
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