研究課題/領域番号 |
63570241
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
森山 忠重 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60075041)
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研究分担者 |
御輿 久美子 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (20106503)
土肥 祥子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (50155628)
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キーワード | カドミウム / 骨障害 / MC3T3-E_1 / 骨芽細胞 / 骨形成 |
研究概要 |
骨形成過程に及ぼすカドミウム(Cd)の作用機序を明らかにする目的で、石灰化能を有する骨芽細胞MC3T3-E_1を、Cd存在下で培養した。培養法を確立した昨年度にひき続き、骨形成の指標と考えられるアルカリホスファタ-ゼ(ALP)活性、コラ-ゲン量としてHydroxy proline量、DNA量等の測定を行ない、Cdによる各パラメ-タ-の、細胞中での活性あるいは含有量の変化を明らかにした。MC3T3-E_1は10%胎児血清含有α-MEM中、5%CO_2下37℃で3日間preincubationの後、10^<-8>〜10^<-5>MのCdを添加してさらに7日間培養した。10^<-8>〜10^<-7>MCd添加群ではいずれのパラメ-タ-に関してもCdの影響は認められなかった。10^<-6>MCd添加により、Hydroxyproline量、DNA量は対照と同じであったが、ALP活性は80%に低下した。10^<-5>MCdによってALP活性は対照の5%、Hydroxyproline量は60%、DNA量は50%に低下した。以上の結果から3つのパラメ-タ-の中で最も低濃度のCdの影響をうけたのは骨芽細胞分化の初期のstageで合成されるALPであった。次は、これまでにCdとの相互作用が認められている亜鉛(Zn)、銅、セレンを共存させると、CdによるALP活性の低下がより増強される傾向んにあったが、Znの共存はCdのALP活性阻害作用を軽減した。10^<-5>MCd添加により低下したALP活性、蛋白量、Hydroxyproline量のいずれもが、10^<-4>MZn共存により上昇した。形態学的にも、10^<-5>MCdによる液胞の増加、死細胞の増加の認められる像から、Znの共存により対照に近い正常細胞像へと変わり、Znの保護効果が観察された。ALPは骨の石灰化に密接に関与していることがこれまでに報告されているが、ALPがCdの作用の最初のtargetになっている可能性のあることが示唆された。今回の結果から、骨芽細胞が長期間低濃度のCdに曝露される事によりALP活性が低下し、骨芽細胞の機能に影響を与えている可能性が示唆された。
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