1.マウスにスズ(SnCl_2)を5または50μmol/kg腹腔内投与し、種々の臓器中Sn濃度および血中ALAD(αーアミノレブリン酸脱水酵素)活性と投与量との間にdose-responseを認めた。Snと等モルのセレン(Na_2SeO_3)を同時投与するとSnによるALAD活性阻害は抑制され各臓器中Sn濃度にも変化がみられた。 2.Sn投与マウスの肝臓中のSnの分布を検討したところ、ホモジネート中Sn含量の約10%がcytosol画分に在るが大部分は9000×g沈殿に存在した。血液試料においてはSnは大部分赤血球中に存在することを明らかにした。 3.Sephacryl Sー300を用いたゲル濾過の結果、赤血球中には少くとも4種のbinding-proteinが存在し、それぞれマクログロブリン、ALAD、ヘモグロビン、分子量約5万に相当する画分に一致している。Seを同時に投与したマウスから得た試料では、SnのALAD画分へのとり込みが抑制されていることが判明した。このことはSnによる血中ALAD活性の阻害をSeが保護する現象の裏付けとなる。 4.肝cytosolのSephacryl Sー300によるゲル濾過の結果、少くとも5種のSn binding-proteinが存在し、Sn単独投与した場合ALADの検出される画分が主Snー結合蛋白であり、Sn・Se同時投与したマウスから得た試料ではALAD画分にSnは殆んど検出されない。しかしALAD活性は一貫して対照群と同程度である。SnがALADの活性発現とは無関係の部位に結合するのか、ALADと同位置に溶出される別の蛋白に結合するのかについては今後検討する予定である。 5.本実験で得られたSn結合蛋白はすでに報告されているクロム結合蛋白とは異る。 6.今後、脾、腎、膵についても上記の実験を行う予定である。
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