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1989 年度 実績報告書

動物組織中のスズ結合タンパク質の同定とスズと他金属の生体内相互作用機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 63570242
研究機関順天堂大学

研究代表者

千葉 百子  順天堂大学, 医学部, 助教授 (80095819)

研究分担者 篠原 厚子  順天堂大学, 医学部, 助手 (90157850)
キーワードスズ / 塩化第一スズ / トリブチルスズ / δ-アミノレブリン酸脱水酵素 / 脳中スズ濃度 / 骨中スズ濃度 / 亜セレン酸ナトリウム
研究概要

これまで無機スズ(SnCl_2)の生体影響を中心に実験、研究をすすめてきたが、今年度は有機スズの生体影響に着手した。有機スズとしてトリブチルスズの塩化物(TBTC)を使用したが、これはSnCl_2に比して毒性がはるかに強いので、マウスへのip投与はSnCl_2(50μmol/kg)よりも下げざるを得ず、5、10、20μmol/kgとした。PO投与は無機・有機化合物ともに50,500μmol/kgとした。無機スズと有機スズの生体影響の大きな相違は脳および骨への分布と血中δ-アミノレブリン酸脱水酵素(ALAD)活性の阻害に顕著にみられた。即ち1.脳中スズ濃度はSnCl_2投与によっては殆ど検出されないが、TBTC投与翌日には明らかに検出される(5μmol/kg ip群で0.052±0.019μg/g、n=7,500μmol/kg PO群で1.52±0.29μg/g、n=7).2.骨中スズ濃度はSnCl_2ip投与では50μmol/kg群で10.01±2.6μg/g(n=4)、500μmol/kg PO投与では2.12±1.61μg/g(n=7)であるのに対して、TBTC ip投与では検出されず、500μmol/kg PO投与群で0.70±0.40μg/g、(n=7)であった。3.骨髄中スズ濃度はSnCl_2500μmol/kg PO群では38.75μg/gであるのに対して、TBTO500μmol/kg PO群では1.66μg/gであった。4.血中スズはSnCl_250μmol/kg ip群ではその90%が血球中に存在し1.08±0.43μg/ml RBC(n=4)であり、TBTC500μmol/kg PO群ではその約80%が血球中に依存し、1.87±1.27μg/ml RBC(n=7)であった。赤血球中ALAD活性はSnCl_2投与によっては著明に阻害され、投与翌日には対照群の10%にまで低下していたが、TBTC投与によっては活性に変化は認められなかった。5.スズとセレンの同時投与については、SnCl_2+Na_2SeO_3の組合せでは昨年報告の通りスズの体内分布にSnCl_2単独投与と異なる様相を示す臓器が多いが、TBTC+Na_2SeO_3の組合せではTBTC単独投与群と殆ど相違はなかった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 千葉百子: "生体内におけるスズの作用とセレンによるその修飾ー血中δ-アミノレブリン酸脱水酵素活性を指標としたスズとセレンの作用ー" 医学のあゆみ. 152. 236 (1990)

  • [文献書誌] Momoko CHIBA,Atsuko SHINOHATA,Chika UJIIE: "Inhibition of 5-aminolevulinic acid dehydratase activity by tin and its modification by selenite" J.Pharmacobio-Dyn.,. 13. s-15 (1990)

  • [文献書誌] Momoko CHIBA,Masakazu KIKUCHI,Chiharu TOHYAMA,Masataka NISHIKAWA: "Concentrations of essential elements after repeated administrations of tin and selenium" Biol.Trace Element Research(in press). (1990)

  • [文献書誌] Momoko CHIBA,Atsuko SHINOHARA: "Inhibition of erythrocyte 5-aminolevulinate hydro-lyase activity by tin and its prevention by selenite" Toxicol.Appl.Pharmacol.(revised).

  • [文献書誌] 千葉百子,篠原厚子,氏家知香: "無機Sn(II),Sn(IV)投与後のスズの生体内分布" 日衛誌. 45. 514 (1990)

  • [文献書誌] 千葉百子,篠原厚子: "スズによる血中ALAD活性阻害とセレンによるその抑制作用のメカニズム" 日衛誌. 44. 441 (1989)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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