研究課題/領域番号 |
63570246
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
小川 博 近畿大学, 医学部衛生学, 講師 (00133546)
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研究分担者 |
西川 友世 近畿大学, 医学部衛生学, 助手 (30172638)
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キーワード | 脳卒中易発性高血圧自然発症ラット(SHRSP) / 高脂肪・高コレステロール食 / Apo B / Apo B / apo A-I |
研究概要 |
低比重リポ蛋白(LDL)レセプターに対する認識蛋白であり、athrogenic β-リポ蛋白の主要構成蛋白であるapo Bに着目し研究を行った。雄性の脳卒中易発性高血圧自然発症ラット(SHRSP)を使用し、エーテル軽麻酔下腹部大動脈より全血採血し血清を得た。この血清を、d;1.020-1.045g/mlに調整し超遠心分画を行った。得られた分画を出発物質とし、Immunoaffinity columnとFPLC(Superose 12)を用いapo Bを単離精製した。このapo Bを抗原とし、ウサギにてapo B抗体を作製した。そして得られた抗血清にてLaurell法に基づいた免疫電気泳動法によるapo B定量法を確立した。Apo Bは難溶性の蛋白であるため、定量の際試料に0.3% SDSを添加する必要があった。次に、SHRSPと対照として正常血圧のWKYにおける血清apo Bならびに、最近抗動脈硬化指数の1つとして注目されているapo B/apo A-Iの加齢による変動を調べた。すると、apo Bは3週齢でSHRSPとWKYほぼ同値であるが、以後加齢が進むにつれ両ストレインとも血清値は一旦減少するが回復し、大きな変動はみられない。しかし、5週以後はSHRSPに比較しWKYの方が高値を示した。又apo B/apo A-Iは、両ストレインともapo Bに類似した加齢による変動を示すが、実験期間中(11ケ月齢まで)SHRSPとWKYの間に有意な差違は認められなかった(P<0.01)。すなわち、SHRSPは既に報告しているようにWKYと比較し、血清脂質ならびにアポ蛋白類の含量はかなり異なっているけれどもapo B/apo A-Iは加齢を問わずほぼ近似した値をとることがわかった。 続いて、16週齢より5週間高脂肪・高コレステロール食負荷を行い、高脂血症を誘導した場合のapo Bを中心とする血清アポ蛋白類とapo B/apo A-Iの変動を調べた。するとSHRSPの場合apo Bは約3.4倍、apo B/apo A-Iは約4.1倍に上昇し、apo A-I、apo Eは有意に減少した。WKYの場合は、apo B約2.7倍そしてapo B/apo A-Iは約2.3倍に上昇し、apo Eは有意に減少した。これらの変動の機構は、次年(継続年)度に酵素活性の変動をも含め検討を進める予定。
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