一般女性を対象とした飲酒調査の結果、従来の調査に比らべ高い飲酒率が得られた。しかし、半数以上の飲酒者は月1回未満と少なく、1回飲酒量も日本酒に換算して1合未満の者が75%で、飲酒者の99%は3合未満であった。 現在、アルコール依存症者の推計に用いられている毎日150ml(日本酒で約5.2合)の飲酒者(超大量飲酒者)は、日本人飲酒者の約2.5%と言われているが、今回調査をした一般女性ではみられなかった。また、飲酒率は有職者ほど高く、女性の社会進出が女性の飲酒を一般化していると言えるが、飲酒の機会や場所では、食事や団らんおよび行事などで自宅で家族と共に飲む者が多い。有職者や若い年令ほど、付き合いで飲む者が多く、友人や仲間とレストランやスナック、居酒屋など自宅外で飲む者が多くみられる。すなわち、従来から言われている地域固有の伝統的飲酒習慣から、地域差のない流行的飲酒習慣が広まりつつあると考えられる。 このような飲酒習慣の変化する中で、女性のアルコール症を予防するための適正飲酒を考える場合、従来のように飲酒機会や飲酒量の問題よりも、飲酒意識や飲酒行動と云う、女性の飲酒文化を適切に把握することが重要となる。 女性の飲酒に対する意識は、大きく価値意識、方法意識、規制意識および有害意識の4つに因子分析の結果分けられる。女性の飲酒(量頻度)に対し、価値意識は促進効果、有害意識は抑制効果をもち、方法意識は適正飲酒を促進していると言える。また、規制意識は女性に共通してもたれており、酒類の自動販売機、酔っぱらいや未成年者の飲酒に対する規制などが強く望まれている。
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