研究概要 |
北九州の4医療機関で昭和55年までに、心臓疾患に対する外科的治療を受けた患者の診療録を閲覧して必要事項(後述)を入手した。これまで収集した施設別・調査期間別症例数は、それぞれ九州大学病院(1962年〜80年)690例、九州厚生年金病院(1961〜80年)346例、小倉記念病院(1973〜80年)673例、久留米大学病院(1957〜60、63、67〜70、74〜78年)559例の計2,268例である。以上の4施設のうち九州厚生年金病院では、心臓外科開設以降1980年までの当該全症例について、小倉記念病院では診療録が保管されていた1973年以降1980年までの当該全症例を採録した。九州大学病院では1961年以前の分が未採録である。久留米大学では診療録保管の関係から採録期間がまちまちであるが、今後1980年以前の当該全症例の採録を予定している。個々の症例について、その診療録から氏名、性、生年月日、現住所、本籍地、原疾患、手術内容、麻酔薬、輸血量(成分別に)、人工心肺、輸血後肝炎、既往歴(特に肝疾患について)、家族歴、飲酒歴、喫煙歴、職業歴、HBVマーカー、術前術後の肝機能などの情報について入手した。採録した症例の個人識別情報、現住所、本籍地などの情報を用い、該当役所に住民票、戸籍抄本等を照会し、生死の確認を行っている。死亡した症例については、該当の法務局より死亡届・死亡診断書の入手の準備をあわせて行っている。今後の計画は、入手した情報をコード化し、パンチして、コンピュータに入力し、コンピュータを使い、B型、非A非B型別に分け、輸血から肝硬変、肝がんまでの潜伏期の計算、原因別観察死亡数の集計、一般人口の原因別死亡率を対象人口にかけあわせて期待死亡数を求める。標準化死亡比(観察死亡数/期待死亡数)を求め、リスクの高まりの有無を検討する。輸血量とそのリスクの間の量・反応関係の有無を調べる。
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