研究課題/領域番号 |
63570258
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
斎藤 寛 長崎大学, 医学部, 教授 (80004901)
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研究分担者 |
松原 伸一 長崎大学, 教育学部, 助教授 (30165857)
宮入 興一 長崎大学, 商科短期大学部, 教授 (40136693)
西原 純 長崎大学, 教育学部, 助教授 (30136626)
山本 勇次 活水女子大学, 文学部, 助教授 (50114806)
守山 正樹 長崎大学, 医学部, 助教授 (10145229)
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キーワード | 人口流出 / 健康水準 / 医療保健行動 / 炭鉱閉山 / 社会的ストレス |
研究概要 |
1986年11月の炭鉱閉山から3ケ月が経過し、人口流出が頂点に向いつつあった長崎県下の小離島・高島町の全2089世帯を対象に調査票を郵送し、1987年3月に転居先不明の115世帯を除き、1974世帯中726世帯(36.8%)より解答を得た。高島の社会的な背景を考慮した上で、世帯主の基本的な属性として(1)性、(2)年齢、〔55歳以下、56歳以上〕、(3)職業〔企業勤務群、関連下請け事業所勤務群、外炭鉱群〕の3つを取り上げた。将来の進路(定住/転出)と性、年齢、職業との関連を調べたところ、今後も高島に定住する可能性が高い群として、年齢別には56歳以上群、職業別には下請け事業所勤務群が浮び上がってきた。定住希望の強い人々の特徴としては(1)環境変化への意識としては、人口高齢化への不安が、また下請け事業所勤務群では失職への不安が強く認められた。(2)健康・受容行動としては、56歳以上群は55歳以下群と比較して過去1年間の健康状態が良くないことが明らかとなった。下請け事業所勤務群は健康についての不安が高い反面で、給核を別にすると過去3年間の健康管理検診受診割合が低率であり、意識と行動との間に落差が認められた。行政地域を中心として保健活動を考えるときには定住する人口のみに目が向きがちである。我々はこのようなときに本調査を人口流出のさなかに行なうことにより、転出する可能性の高い集団と低い集団とを同定し、さらに両者の比較により、人口減少後の地域集団における健康水準と関連した問題点の所在を予測することができた。
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