研究概要 |
厚生省の実施している感染症サ-ベイランス事業の対象疾患のうち,主に小児が罹患する12疾病を対象として,流行様式の観察を行った。観察の期間は,昭和60年第1週から昭和63年第52週までの209週とし,各週の全国1定点当たりの患者数を資料として用いた。流行の周期性をみるために,自己相関係数を求めた。次に,流行周期は,様々な要因から複合的に構成されることが考えられるため,各疾病ごとにフ-リエ解析を行い,スペクトルを求めた。この際,各疾病で患者数が異なることから,各週の患者数を209週の合計患者数で除して標準化を行った。更に,スペクトルの係数の大きいものから3つの周期を用い,どの程度元のデ-タと一致するかを観察した。結果は以下のとおりである。 (1)麻しん様疾患,水痘,乳児嘔吐下痢症,ヘルパンギ-ナについては,季節性がはっきりとしており,第2スペクトルまでで流行の80%以上が説明できる。 (2)流行性耳下腺炎,異型肺炎,伝染性紅斑は,長い周期性が推測され,観察期間をさらに伸ばす必要がある。 (3)風しん,手足口病は,年間の季節変動と長い周期性があり,複雑なスペクトルを示した。 (4)百日せき様疾患は,観察期間の前半と後半で流行の形が異なっており,今後の推移を観察する必要がある。 (5)溶連菌感染症,突発性発疹は,季節方動が認められるが,さらに複雑な要因が関与している可能性がある。
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