昭和63年4月以降平成元年1月末日までに、原発性肝がんの症例と性・年令・居住地の対応した対照の両者への面接調査と医歴調査が終了し、情報収集状況のチェックとコーディングも終了し、フロッピーディスクに入力を完了したのは、症例25名(男20、女5)とその対照25名であった。この25症例・対照組でみると、男では年令55〜59才に、また、女では60〜64才に属する者が最も多かった。輸血歴は男女あわせて症例は28%、対照の20%にみられた。B型肝炎S抗原(HBsAg)は症例の12%、対照の4%が陽性であった。飲酒習慣では、面接時点で飲酒習慣を有していた者は症例・対照ともに52%で差はみられなかったが、過去に飲酒習慣があったがその後は飲酒を止め、面接時点では禁酒者であった者の割合は、症例で24%なのに対し、対照では4%であった。喫煙習慣については、元喫煙者の割合は症例・対照ともに24%であったが、症例では喫煙者が64%、非喫煙者が12%なのに対し、対照ではそれぞれ52%、24%であった。職業歴については、面接時点までの就業期間が最も長かった職業に基づいて12の職業歴構成をみると、比較的多い職業として、農林・漁業と技能工・生産工程作業者及び労務作業者があるが、症例と対照間に職業歴構成の大きな差はみられなかった。 初年度であり収集した例数がきわめて少く、本格的な解析や解釈には堪えない。関連機関の研究協力体勢はほぼ満足できる状況であり、また、研究対象者の協力状況も良く、輸血歴、HBsAg保有状況、飲酒歴、喫煙歴、職業歴などの項目における不明回答は皆無で推移している。来年度も研究継続が可能であり、そうすることが望ましいとみなされる。
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