昭和63年4月以降平成2年1月末日までに、原発生肝がんの症例と性・年令・居住地の対応した1対1の対照の、両者への面接調査と直歴調査が終了し、コ-ディングとフロッピ-ディスクへの入力を完了したのは症例103名(男85、女18)と、その対照103名となった。この103症例対照組でみると、男では年令55〜59才に、また、女では60〜64才に属する者が最も多かった。輸血歴は男女あわせて症例の28%、対照の18%にみられた。B型肝炎s抗原(HBsAg)は症例の13%、対照の2%が陽性者であった。飲酒習慣では、面接調査時点で飲酒習慣を有していた者は症例で45%、対照で64%であった。過去に飲酒習慣があったがその後は飲酒を止めて、面接時点では非飲酒であった者は症例で29%、対照で7%であった。面接時点での喫煙習慣は喫煙者、禁煙者、非喫煙者であった者が、症例ではそれぞれ48%、33%、19%、対照ではそれぞれ53%、24%、22%であった。職業歴については、面接時点までの就業期間が最も長かった職業に基いて12の職業歴構成をみると、比較的多い職業として、技能工・生産工程作業者及び労務作業者、農林漁業作業者、事務従事者などがあったが、症例と対照の間に職業構成の大きな差はみられなかった。 例数が少ないので男のみについて各要因と肝がんリスクとの関連をX^2検定で調べると、HBsAgによるオッズ比は9.8(95%信頼区間;1.7ー55.7)で有意の関連を示した。他の要因についてはこれまでのところ有意の関連を示したものはなかった。 今年度は精力的に症例収集に努めたが来年度もこれを一層おし進めて例数の増加を企り、来年度末には充分な解析を行う予定である。
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