研究課題/領域番号 |
63570272
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中園 一郎 長崎大学, 医学部, 教授 (30108287)
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研究分担者 |
久保 真一 長崎大学, 医学部, 助手 (10205122)
小片 守 長崎大学, 医学部, 講師 (10152373)
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キーワード | 脳神経病理 / 加齢 / 老人斑 / 神経原線維変化 / アミロイド・アンギオパチ- / リポフスチン / 老人性痴呆 |
研究概要 |
本年度は脳における加齢の程度の判定基準を求めることを目的として、年齢と脳の加齢所見について検討を行なった。 17歳から89歳までの57例を観察した結果、老人斑(SPC)は70歳以上12例のうち7例に認められた。神経原線維変化(NFT)は70歳以上のうち3例に、アミロイド・アンギオパチ-(AA)は80歳以上3例中2例に認められ、リポフスチンの沈着は50歳以上のうち5例に認められた。即ち、神経病理学的所見が50歳以上の症例にのみ認められた。これら症例のうち4例が痴呆と判定されたことから、50歳以上で痴呆でない症例合計37例について加齢と神経病理学的所見との相関を検討した。 前記神経病理学的評価項目について得られたデ-タ(変数;Y)と年齢(変数;X)について一次回帰曲線(Y=A+BX)、相関係数(r)を求め検討した。相関係数については併せて有意性の検定を行なった。その結果、海馬回における老人斑(SPC)の数、大きさ、視野に占める面積割合、および原始老人斑(SPP)の大きさの各々と加齢との間に有意の相関が認められた。また、後頭葉においても同様に老人斑(SPC)の数、大きさ、視野に占める面積の割合、および原始老人斑(SPP)の大きさの各々と加齢との間に有意の相関が認められた。これらの項目と年齢との一次回帰曲線を求めたところ、いずれも加齢に従って明らかに増加していた。 この結果から、加齢の程度を判定する場合には、老人斑については、海馬回および後頭葉における数、大きさ、視野に占める面積割合を観察し、原始老人斑の大きさを後頭葉で観察するのが最も適切であると考えられた。
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