研究課題/領域番号 |
63570288
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内科学一般
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
菱田 明 浜松医科大学, 医学部, 講師 (70111812)
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研究分担者 |
小林 修三 浜松医科大学, 医学部, 助手 (60195782)
山本 龍夫 浜松医科大学, 医学部, 助手 (30200819)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | 糸球体基底膜 / 透過性 / 荷電障壁 / プロテオグリカン / ネフロ-ゼ |
研究概要 |
糸球体基底膜(GBM)における高分子蛋白の透過性について、主としてヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)よりなる荷電障壁の重要性が報告されている。従来、これら荷電障壁を形成する陰荷電物質を染色する目的で、各種陽荷電プロ-ベが使用されているが、これらを定量化することは困難であり、さらに電顕にて観察されたこれらの形態は、HSPGの分子構造形態とは著しく矛盾すると指摘されていた。最近、我々はCuprolinic blueという銅を含む色素を用いて、まずGBM陰荷電物質を、その分子構造形態に近い形で捉え、さらに定量的評価としてこの色素中に銅が含まれることに着目し、GBM陰荷電物質に結合した銅を原子吸光分析装置にて測定し、陰荷電性の定量的指標化とすることに成功した。この方法にて、ラットのアミノヌクレオシド誘発ネフロ-ゼモデルにおけるGBM陰荷電物質の変化を検討した。即ち、本色素を臨界電界質濃度法に従って左腎を灌流し、一部を一般電顕観察用に試料を作成した。他方、GBMを単離し、GBM結合銅両を原子吸光分析装置にて測定し、単位蛋白当たりで示した。正常対照群では、GBM内外透明層に、足突起直下よりGBM緻密層に垂直に伸展する長さ約30〜40nmの線維状構造が認められた。実験群では、極期に多量の蛋白尿が出現し、上記線維状構造は減少し、その配列も不規則となっていた。GBM結合銅量(μg/mg蛋白)も、対照群7.9±0.43に比し、3.7±0.33と有意に減少していた。以上の如く、本法により陰荷電障壁の定量化に成功し、さらにアミノヌクレオシド誘発ネフロ-ゼモデルにおける蛋白尿の成因の一つにGBM陰荷電障壁の減少が関与することを示した。
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