HLA領域に存在する慢性関節リュウマチ(RA)、シェ-グレン症候群(SS)の発症を規定している遺伝子を解明する目的で、RA、SS患者のクラスIII遺伝子産物のC4A、C4B、Bf蛋白アロタイプとクラスIII genomic DNAのrestriction fragment polymorphismの検索を行なった。 その結果、日本人ではRA、(特に男性患者)にC4B5、DR4、DRW53がハプロタイプとして相関することが明らかとなった。またC4B5とRAの相関はDR4、DRW53とRAとの相関による2次的なものと考えられた。RFLPによるクラスIII遺伝子の解析では、日本人のC4B5型に特異的なC4B gene fragmentが明らかとなったが、RAのみに見られ正常人にはないfragmentは認められなかった。従って、RAの発症に関与しているHLA領域の遺伝子は、クラスII遺伝子であろうと推定された。 一方SSでは、他の膠原病を合併しないI-SS例にC4A蛋白の欠損型のC4AQOをヘテロに有する例が高頻度であり、C4A蛋白の減少が疾患発症に関与している可能性が示された。genomic DNAの検討では、SLEを合併したSSの1例に21-hydroxylaseよりC4B領域遺伝子の広範なhomozygous deletionを認めた。しかしC4AQOとタイプされた例を含めてC4Aの5′端の遺伝子欠損は明らかではなかった。
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