研究概要 |
皮膚筋炎(DM)の細胞性免疫異常について検討し、以下の成績を得た。(1)DM末梢血単核細胞とヒト皮膚由来線維芽細胞を混合培養すると、単核細胞は線維芽細胞周囲に集簇し、線維芽細胞の増殖を抑制し、^<51>Cr放出実験ではMHC非拘束性に細胞障害作用を示した。(2)DM単核細胞の線維芽細胞障害作用は皮膚筋炎に特異的で、特徴的な皮膚病変を示さない多発性筋炎には認められなかった。また、本作用は線維芽細胞に特異的で、他の培養細胞株(HeLa,KYMー1)では認められなかった。(3)エフェクタ-細胞はT8陽性細胞で、単球の存在を必要とした。(4)細胞障害作用の発現には単核細胞と線維芽細胞の直接の接触が必要であった。(5)線維芽細胞障害作用はDMリンパ球と正常人単球の組み合わせで認められたが、正常人リンパ球とDM単球の組み合わせでは認められなかった。すなわち、疾患特異性はリンパ球分画に存在した。(6)線維芽細胞障害作用は抗ILー2抗体によって抑制されたが、抗ILー1抗体、抗ILー6抗体では抑制されなかった。正常人単核細胞をDM単核細胞培養上清とともに線維芽細胞に作用させると、明らかな線維芽細胞障害作用が引き起こされた。さらに、正常人単核細胞をILー2で刺激すると、自己・非自己の線維芽細胞に対し同程度の細胞障害作用を示した。このことから細胞障害作用にはILー2が介在する可能性が考えられた。(7)線維芽細胞障害作用は10^<ー8>〜10^<ー4>Mの糖質コルチコイドにより用量反応性に抑制された。(8)悪性腫瘍合併DMの単核細胞も線維芽細胞障害作用を示した。治療により線維芽細胞障害作用を消失し、一方、非活動期のDM例では線維芽細胞障害作用は持続した。この成績は、悪性腫瘍合併DMでは悪性腫瘍が第一義的な存在で、これがDMと共通した免疫学的異常を引き起こすことを示している。以上の成績から、DMの病因には筋細胞ではなく、間質に対する細胞障害作用が密接に関連し、多発性筋炎と異なっていると結論された。
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