「方法」B型肝炎ウイルス(HBV)遺伝子を制限酵素で、X領域とS領域を含む亜領域ゲノムに切断後、ベクターにpHD2Lを使用して再構築した。X領域ゲノムを含むプラズミッドをpHD25MX、C領域ゲノムを含むプラズミッドをpHD2MC、S領域ゲノムを含むプラズミッドをpHD12MSとした。トランスフェクション(Tr)に使用した細胞はchang細胞と、HuH-6細胞である。Trにはリン酸カルシュウムを使用し、ハイグロマイシンBで培養した。pHD25MXpHD12MC、およびpHD12MSでTrに成功した細胞を、組替型インターフェロン(IFN)αで培養後β2ミクログロブリン(β2MG)を測定した。B^2MGはELISA法で2'+5'oligoadenylate synthetase(2-SAS)は宗川らの方法で行った。 「成績」Trに成功した細胞は、pHD25MXでHuH-6細胞(HuH-6X)、pHD12MSでchang細胞(chang-S)で、pHD12MCでは成功しなかった。HuH-6でのIFNX非添加群と添加群でβ2MGと2-5ASの測定成績はそれぞれ20土3、6、61±7.6ng/10^6cells、3.2±0.8、6、6±0.6%であった。一方HuH-6X細胞では、23±4.3、5.6±8.6ng/10^6cells、2.8±0.5、6.1±0.6%で、HuH-6とHuH-6XでIFNによるβ2MGと2-5ASの反応性で差を認めなかった。chang細胞でのIFN反応性はβ2MG、2-5ASでそれぞれ2.1±0.23、6.3±1.2ng/10^6cells、3.1±0.6、5.2±1.2%であった。一方、chang-S細胞でのIFN反応性は、1.8±0.9、4.9±0.8ng/10^6cells、2.6±0.5、4.6±1.1%で、Chang細胞とChange-S細胞で有意な差異を認めなかった。「結論」X領域ケノムとS領域ゲノムを培養細胞にTrしてもIFNに対する反応性に差異を認めなかったことから、HBVのIFN反応性を制御するHBV領域はC領域であることが示唆された。
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