研究概要 |
非挿管下補助呼吸として、Chest Negative Pressure Ventilation(CNPV),鼻マスクを使用したIntermittent Postive Pressure Ventilation(IPPV)がある。通常の人工呼吸は、気道確保と人工呼吸器より成るが、非挿管下では、気道確保を行わないが故に、上気道の開通性の影響を受けると考えられる。正常者を対象として場合には、CNPVの効果は口呼吸時最も大きく、通常は鼻呼吸であるため、口呼吸時の一回換気量は維持されない。また鼻抵抗と、CNPV時の一回換気量とは負の相関々係がある。この事は、覚醒時、口呼吸時CNPVの有効でない例では、効果は期待できない。また鼻抵抗の高い例、睡眠時効果の低下する例では、口呼吸をさせるなどの対策が考えられる。CNPVの効果の良い例では、鼻マスクIPPVの効果も良く、いびきをかく例では、睡眠時はIPPVの方が効果は良い。これらの結果より、非挿管下補助呼吸は、対象例の睡眠時を含めた上気道の開通性に依存し、個々の症例に応じた対策が必要と考えられた。 慢性呼吸不全症例においても、CNPVでは、安定期の結核後遺症例を対象とした場合には、正常人と同様に、口呼吸最大の効果を得られた。 臨床的に有用であったと考えられる非挿管下補助呼吸の使用は、PaCO_260Torr以上の慢性呼吸不全8例で行った。CNPVは5例で、鼻マスクIPPVは3例であり、うち2例で個人用鼻マスクを作成した。個人用鼻マスクの作成により、睡眠中の長時間の使用が可能となった。7例で、2ケ月以上使用し、PaCO_2は10Torr以上低下した。一時的にせよ在宅人工呼吸可能であったのは、CNPV3例、IPPV1例であった。またCNPV3例で、去痰困難が発生したが、喀痰吸引により効果は維持できた。 CNPVで閉塞性無呼吸,IPPVで口漏れにより低換気となるが、これらが発生しても、臨床的許容範囲があり、今後この点の検討が必要と考えられた。
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