研究課題/領域番号 |
63570359
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
関沢 剛 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (50150264)
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研究分担者 |
中村 正三 東北大学, 医学部, 助手 (80108498)
林 晧三郎 財団法人, 郡山免疫研究所, 部長 (20012726)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | butyrate / GABA / HSV / 潜伏感染 / 網膜炎 / 再活動化 / ギランバレ- / Capture ELIZA |
研究概要 |
本研究は第1年度に基礎的研究第2年度に臨床的研究が行なわれた。I基礎的研究.1これまで研究代表者らは短鎖脂肪酸butyrateがherpes Simplex Virus(HSV)の潜伏感染のinvitro再活動化を促進することを明らかにしてきた。そこでbutyrateのγ位の水素原子のアミノ基置換体であるGABAおよびその生合成過程で生ずるglutamine、glutaーmateにおける再活動化の影響を検索した結果GABAでは再活動化自体の促進は認めなかったが再活動化ウィルスの増殖を促進させることが明らかとなった。glutamine glutaーmateでは再活動化、増殖のいずれも影響をおよぼさなかった。II臨床的研究.1 1983年HSVが知覚神経節以外に網膜にも潜伏感染することが動物実験で明らかにされたが実際にヒトの網膜内潜伏感染の存在は今日まで不明であった。研究代表者らはこの度ヒトの網膜内潜伏感染そして再活動化による急性網膜炎を発見した。症例は30才男子、高熱と髄膜刺激症状で発症したヘルペス脳炎で頭部CTで左側に大なる両側側頭部と海馬に低吸収域を認めたが健忘症を残して退院した。HSVはこの脳炎期に網膜内潜伏感染したらしく、2.5年後再活動化し左眼痛および左視力障害、検眼鏡的に網膜周辺部の黄白色浮腫病変と網膜中心動脈閉塞を呈した。硝子体中抗HSVー1抗体価が1280倍と高値を示し他のウィルス抗体価は検出されずまた髄液血清中の抗HSVー1抗体価は脳炎期にくらべてはるかに低下していた。2 ギランバレ-症候群のHSV抗体価の上昇は軸索変性による後根神経節内HSV潜伏感染の再活動化によることを明らかにした。3 Capture ELIZA法による新しいHSV脳炎の診断を確立した。以上の本研究の補助金は初年度に設備備品として倒立顕微鏡があてられHSV作成および組織培養によるウィルス学的検索に有用であった。その他抗体価測定の際の培養器具やこれを施行する際の実験補助費にあてられ、研究は円滑に進行した。
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