研究概要 |
心拍出量と大脳白質病変、事象関連電位の関係について地域在住健常成人92名を対象(平均56.5才)に検討した。方法:常伝導型MRIによるT2強調画像水平断にてPVHの定性的評価を行なった。質量分析装置を用いたアセチレンガス、アルゴンガス、炭酸ガス,酸素、窒素ガスの混合によるreーbreathing法により非侵襲的に心拍出量、測定した。事象関連電位測定は音刺激P300を用いた。 結果:1)年令とPVHの程度はr=0.47(p<0.001)と有意な相関を示した(左図)。 P300潜時も加令と共に延長することが知られており今回も年令と有意な正相関を示した。 2)心拍出量とPVHの程度の間にはr=-0.12と有意な相関はみられなかった。 3)心拍出量とP300潜時の間には有意な相関はみられなかった(右図)。 4)P300潜時とPVHの程度との間には有意な相関は見られなかった。 考案:多数例の健常成人におけるP300潜時、PVHとの関連については心拍出量との間に有意な相関はみられなかった。本対象群ではPVHの高度な例が少なく、3度以上がわずか4例に過ぎなかったことがこの結果に影響していると思われる。今後、PVHの高度な例が多い高齢者を加えて検討する必要があると思われる。P300潜時についても同様のことが考えられ、年令分布が偏ったため心拍出量の値が収束してしまい明らかな傾向がみられなかった可能性を否定できない。しかし、P300潜時は年令と相関しており心拍出量とは関連しないと考えるのが妥当かも知れない。この点についても年令分布を考慮にいれて多変量解析も含めて再検討する余地があろう。
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