1.マウスを用いた視標追跡運動機能検索装置の開発とその臨床応用(主として昭和63年度):電算機ディスプレ-に色彩視標を描示し、それが直線、円軌道あるいは複雑な図形を描くように種々の速度で移動させ、被検者に手でマウスを動かしてその視標をできるだけ正確に追跡させ、視標と追跡点の軌跡をパソコンのメモリ-に記録し、その誤差の時系列の標準偏差とむだ時間、その特徴パラメ-タを求めた。この検査を若年健康成人11名、高齢者9名、小脳失調症患者8名、およびパ-キンソン病患者5名を対象に適用し、各群の運動の特徴パラメ-タを明らかにした。そして抽出した特徴パラメ-タを用いて構成した非線形識別関数に基ずいて各被検者を4群に自動分類する試みを行ったところ、正解率は80%であった。 2.ディジタイザ-を用いた二次元画面視標追跡記録装置の開発とその臨床応用(主として平成元年度):上記1において、マウスの代わりにスタイラスペンを手で握ってディジタイザ-上を動かし、ディスプレ-上の視標の動きを追跡させ、その運動軌跡を同様に解析してその特徴パラメ-タを求めた。この検査を若年健康成人16名、小脳失調症を示す患者9名、およびパ-キンソン病患者6名に適用し、各群の運動の特徴パラメ-タを求め、複数個の特徴パラメ-タから構成した識別関数を用いて自動判別を試みたところ、疾患群と健常者の判別は容易であったが、両疾患群の判別はまだ完全ではなかった。またその運動記録デ-タの特性をうまく表現するむだ時間2次系モデルを作成し、同様の解析を行った。 3.将来の展望:上記2の対照として健常高齢者を検索する必要がある。またデ-タの情報圧縮と中枢運動制御の機構の解明を目的として、その数式モデルを作成し、同様に特徴パラメ-タを明らかにする。
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