研究概要 |
砂ネズミ15分両側総頚動脈閉塞モデルを用いて、行動様式・局所脳グルコ-ス代謝率・セカンドメッセンジャ-系の変化を比較検討した。 実験には砂ネズミ20匹を用いた。受動的回避反応を5回学習させ、回避反応を獲得した12匹のみを対象とした。反応獲得後、7匹はネンブタ-ル麻酔下に両側総頚動脈をクリップにより閉塞し、15分後に再開通した。5匹にはsham手術を施行した。術後1週間後、再び受動的回避反応の検討を行なった。その後、覚醒動態で^<14>C-deoxyglucose法により局所脳グルコ-ス代謝率を測定した。また、同一動物を用いてH-forskolin、^3H-phorbol 12,13-dibutyrateのin vitro receptor bindingを施行した。 手術1週間後、受動的回避反応の回避率は虚血群で0%、対照群で60%反応潜時は各々5.7±5.8秒、199.0±138.5秒(最大300秒)であった。虚血群大脳皮質の局所脳グルコ-ス代謝率は対照群に比し16.4-25.0%低値を示したが、統計的に有意を示すには至らなかった。大脳深部においては虚血群caudate-putamenで54.85±9.2μ mol/100g/min、対照群の82.74±30.89μ mol/100g/minに比して有意に低値を示した(p<0.05)。他の大脳深部組織においても虚血群は対照群に比し9.4ー30.5%低値を示したが、統計学的に有意を示すに至らなかった。 結論:両側総頚動脈15分間閉塞による一過性虚血負荷1週間後において受動的回避反応の保持は著しく障害された。その際、大脳グルコ-ス代謝率は基底核および皮質を中心に全般的に低下している傾向がみられた。 尚、現在セカンドメッセンジャ-系の検討を施行し、総合的に対比検討している。
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