研究課題/領域番号 |
63570377
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
成富 博章 国立循環器病センター研究所, 脳循環研究室, 室長 (60132932)
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研究分担者 |
佐々木 将博 国立循環器病センター, 研究所・RI施設, 主任 (50150800)
金城 勝 国立循環器病センター, 研究所・共通実験室, 室員 (10132929)
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キーワード | 生体計測核磁気共鳴法 / シフト試薬 / 細胞内Naイオン濃度 / 細胞内スペース / 脳虚血 / 脳浮腫 |
研究概要 |
現有の生体計測用NMR装置(JEOL-JNM GX270、6.34テスラ)を一部改良し、^<23>Naスペクトロスコピーの測定精度を改善させて実験を行った。実験には成熟雄砂ネズミを用い、シフト試薬としてDy(8TTHA)^<3->を用いた。シフト試薬投与前、砂ネズミの脳の^<23>Na NMRスペクトルでは単一のピークが認められるのみであり、細胞内外成分の判別は不可能であった。Dy(TTHA)^<3->(300mM)を大腿静脈から約2時間連続注入すると、細胞外^<23>Naシグナルは大きくシフトし、スペクトルは細胞内外二成分に分離された。その際、細胞内^<23>Naシグナルも僅かながらシフトすることが確認された。これはbulk sasceptibility effectによるものと考えられれる。細胞内外シグナル分離後、砂ネズミの両側総頚動脈を閉塞して脳虚血を作成した。脳虚血開始5分後に細胞内^<23>Naシグナル強度は10-15%低下し、低下状態は1時間以上持続した。その後血流を再開させると、比較的速やかに細胞内^<23>Naシグナル強度の回復が認められた。一般に脳虚血に際してNaイオンは細胞内に流入するとされているので、この虚血に際して見られる細胞内^<23>Naシグナル強度の低下は予想と相反する現象である。虚血に際する細胞内^<23>Naシグナル強度低下のメカニズムにはNMR法における細胞内^<23>Naのinvisibilityが関与していると考えられる。おそらく、虚血に際する何らかの変化により細胞内^<23>Naが蛋白と強く結合するようになり(baund sodium)、その結果、細胞内^<23>Naシグナルがスペクトル上見えにくくなるのではないかと考えられた。
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