研究概要 |
私たちは家兎大動脈より血管平滑筋細胞を、ブタ大動脈より血管内皮細胞を培養し、種々の薬物に対するCa動員反応をはじめにfura2 signalを用いて解析した。培養平滑筋細胞に5μM fureー2 AMを40分間処置し、Nikon蛍光測光システムを用い、φ=5μmのsampling pointでCa signalの変化についてserotonin,phenylephrineを用いて調べた。serotoninは10^<-8>Mから濃度依存性に細胞内Ca濃度を上昇させ10^<-4>Mで最高に達した。一方Phenylephrineは10^<-7>より濃度依存性に細胞内Ca濃度を上昇させ10^<-4>で最高に達した。先に、私たちは培養平滑筋細胞でserotoninによりphosphoinositide turnoverが惹起されることを示したが、serotoninによるCa動員機構にcalcium channelの関与が存在するかを調べる為に、電気生理学的手法を用いて現在解析中である。 近年、内皮細胞が血管平滑筋の収縮拡張に重要な役割を演じていることが明らかとなった。最近私たちは内皮依存性拡張反応がLysophospholipid,及びmodified LDLにより著明に抑制されることを見出した。EDRFの放出で刺激することが知られているbradykininは、培養内皮細胞において、10^<-10>Mより濃度依存性に細胞内Ca濃度を上昇させた。又serotonin,acetylcholineも同様な細胞内Ca濃度の上昇をおこすことが明らかとなった。現在、これらの刺激に対するlysophospholipidとmodified LDLの効果を検討中である。
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