私たちは、家兎大動脈より血管平滑筋細胞を培養し、serotoninに対する反応をphosphoinositide turnoverの面から解析した。serotoninはInMより濃度依存性にIP_3の産生を生じることを見出した。serotoninによるphospholipase C反応へのG蛋白の関与を調べる目的で、pentussis toxin(500ng/mi)で培養平滑筋細胞を24時間前処置しておくと、serotoninによるIP_3の産生は約50%抑制された。このことより、serotoninとカップルしたphospholipase C反応にはpertussis toxinに関受性のあるG蛋白の関与が示された。Protein Kinase Cは血管平滑筋細胞を含めた種々の細胞の増殖、分化などの細胞機能に重要な役割をはたしている。Protein Kinase Cの血管平滑筋の収縮に対する作用は極めて興味深い。培養平滑筋細胞をProtein Kinase Cのactivatorとして知られているTPA(10nM)で前処置すると、sertoninに対するIP_3の産生は約75%抑制された。このことより、Protein Kinase Cはserotonin receptorとカップルしたphospholipase C反応にnegative feedbackをかけていることが明らかとなった。 次に、全体としての細胞内Ca^<2+>動員が先の細胞系においておこり得るかを調べる為に5μM fura-2 AMを40分間処置し、Nikon蛍光測光システムを用いてφ5μmのsampling pointでのCaのうごきを調べた。serotoninは10^<-8>Mより濃度依存性に細胞内Ca濃度を上昇させ10^<-4>Mでmaximumに達した。以上より、培養血管平滑筋においてserotoninはphosphoinositide tornoverを介してCaの動員をおこすことが示されたが、serotoninによるCa動員機構にCalcium channelの関与が存在するかを電気生理学的手法を用いて解析中である。
|