研究課題/領域番号 |
63570399
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
千田 彰一 香川医科大学, 医学部附属病院, 講師 (30145049)
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研究分担者 |
宮本 一雄 香川医科大学, 医学部, 助手 (40137261)
中島 茂 香川医科大学, 医学部附属病院, 助手 (80172310)
水重 克文 香川医科大学, 医学部, 助手 (90166009)
森田 久樹 香川医科大学, 医学部, 助手 (70145051)
松尾 裕英 香川医科大学, 医学部, 教授 (90028514)
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キーワード | 超音波顕微鏡 / 生体組織特性計測システム / 干渉法 / X-Zモード / 特定部温度 / 試料厚み / 絶対音速 / 冠動脈壁音速計測 |
研究概要 |
本研究では、生体組織試料の音響学的正常を定量的に評価しうる高周波超音波生体組織特性計測システムを用いて、ヒト冠動脈壁各層別音速の定量計測を行い、各部位における組織硬度に関する評価を行った。 1.本システムは、超音波顕微鏡(HSAM-500S、周波数400MH#以上)を主体に制御部、情報処理部より成るが、試料厚みと測定部温度を精確に規格化しうる特殊試料台を新たに試作し、これに組み込んだ。試料厚みが初期設定通りであるか否かの判定は、X-Zモード法により描かれる干渉縞パターンの読影により判定可能であった。また、測定部温度は±0.1℃の誤差範囲内で制御可能であった。 2.組織音速計測は、試料厚みdsおよび対照部に対する試料部の干渉縞のズレ量Δzより、試料(Vs)の媒体(Vw)対する音速比Vs/Vw=1/(1-Δz/ds)として算出できる。特殊試料台を用いることにより、試料厚みおよび測定部温度を精度よく制御可能となり、生体組織試料の絶対音速計測を行いうるようになった。今後種々臓器の健常・病的組織における組織性状の定量的評価の検討に有用と考えられた。 3.心臓病が死因でない剖検心12例より得た冠動脈組織を対照として、内膜、中膜内層および外層の3点につき、5〜7μ_nm領域の平均値として、Vs/Vwを算出した。結果は3点それぞれに、1.105±0.012、1.150±0.04、1.187±0.033であった。一般に媒質内で音速が速くなるということは、体積弾性率が大きくなり、圧縮率は小さくなる関係にあることから冠動脈壁は内層から外層に向け硬度の増す傾向にあることが明らかになった。 4.10〜100MH_z帯超音波生体組織性状の計測が可能なようハード構成の整備およびソフトウェアの改良を行った。冠動脈の正常組織部、硬化部、心筋壊死部および線維化部の減衰量などの計測データ集積しつつあるが、次年度にはさらに緩和吸収の種類と病変との相関を検討する。
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