研究概要 |
交感神経は心臓の心拍数を増加し、心臓の収縮性を増強することは良く知られている。この反応は、個体が緊急事態におかれた時に重要な働らきをなしている。しかし,心筋の収縮性の低下した心不全時には,交感神経の長期的刺激が,心筋を障害し,β受容体のdirin regul qtionをもたらし,心不全の病態を更に悪くすると考えられている。今回は,この問題を生化学的に検討した。 交感神経の影響をほぐすためには,心臓への交感神経を除去した。交感神経の刺激の代りに,iroproteienalの皮下注射を連日行なった。心臓の生化学的変化を二つの収縮に関連した指標で検討した。一つは心筋myosin isozymeで,二種類ある。一つはαmyosinで,速く収縮するがエネルギ-効率が悪い。他はβmyosinで収縮は綴りだが,エネルギ-効率が良い。同時に,筋小胞体のCa^<++>ATpaseをmRNAの増減で検討した。 除神経により交感神経の刺激がなくなると,αmyosinがほとんどなくなりβmyosinだけとなり,筋小胞体のCa^<++>TPaseが低下する。収縮系が全体として緩り収縮する体制となる。一方,isoprotereualの皮下注射を続けると,αmyosinが著明に増加して来る。これは,速い収縮には適している。しかし,心不全で心筋が障害されている時に,catecbolamineを多量に用いると,ヒトでもαmyosinが著明に増加するのが認められ,収縮系がエネルギ-効率の悪い状況にしてしまっていることは問題である。 今回の研究で,交感神経は心筋の収縮系そのものにも,生化学的に認められる変化を生じており,これを少しでも減らす目的にために,β受容体のdown ryulationを生じる可能性が考えられた。
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