研究課題/領域番号 |
63570420
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
重川 宗一 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 部長 (00113738)
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研究分担者 |
多和田 裕子 国立循環器病センター, 研究所・循環分子生理部, 室員 (80171908)
古川 賢一 国立循環器病センター, 研究所・循環分子生理部, 室員 (20165468)
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キーワード | 血管平滑筋 / 細胞膜CaATPポンプ / 環状ヌクレオチド / 細胞内Caイオン濃度 / プロテインキナーゼ / フォルボールエステル / 心房性利尿ペプチド / ニトロプルシド |
研究概要 |
細胞膜Caポンプ活性に対する輪状ヌクレオチド(cGMP、cAMP)及びプロテインキナーゼC(PKC)の効果を、ラット大動脈培養平滑筋細胞を用いて調べた。我々は既に、外液にNa^+がない条件での細胞からの^<45>Ca排出が細胞膜Caポンプによることを明らかにした。そこで、細胞内cGMP濃度を上昇させる処理を行ない、外液にNa^+が存在しない条件下での細胞からの^<45>Ca排出と、同条件下での〔Ca^<2+>〕_iを測定して、Caポンプ活性の〔Ca┣D12+〕┣D2i┫D2依存性を調べた。細胞内cGMP濃度上昇作用をもつニトロプルシド(SNP)、心房性利尿ペプチド(ANP)或いはcGMPアナログの8Br-cGMPで平滑筋細胞を処理した場合は、いずれも未処理の細胞に比べて、細胞からの┣D145┫D1Ca排出活性が有意に上昇した。特に、〔Ca┣D12+┫D1〕┣D2i┫D2の静止レベルに近傍(-log〔Ca┣D12+┫D1〕┣D2i┫D2【similar or equal】7.0)での活性促進が著しく、Caポンプの〔Ca┣D12+┫D1〕┣D2i┫D2に対する親和性が増大すると結論出来る。従って、細胞内cGMP濃度を上昇させる亜硝酸薬(SNP、ニトログリセリン等)やANPの血管拡張作用の1つのメカニズムとして、cGMPによる細胞膜Caポンプの活性化と〔Ca┣D12+┫D1〕┣D2i┫D2の減少が考えられる。他方、細胞内cAMP濃度を上昇させる処理は、細胞膜Caポンプ活性に有意な変化を及ぼさなかった。従って、cAMP濃度上昇によって引き起こされる弛緩には細胞膜Caポンプは関与しないものと考えられる。次に、PKC活性化の細胞膜Caポンプ作用に及ぼす効果について調べた。細胞をPKCの活性化剤のPMAで処理すると未処理の細胞に比べてCaポンプ活性は有意に増大した。しかし、cGMPの場合と異なり、Caポンプ活性の最大値が増加し、Ca┣D12+┫D1に対する親和性は変化しなかった。一般に、Ca┣D12+┫D1動員刺激に際しては、同時に産生されるジアシルグリセロールによって、PKCの活性化がおこる。従って、PKCによるCaポンプの活性化は、刺激によって上昇した〔Ca┣D12+┫D1〕┣D2i┫D2を速やかに元のレベルに戻すフィードバック調節機構としての役割をになうものと考えられる。
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