研究課題/領域番号 |
63570425
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
冨澤 滋 群馬大学, 医学部, 講師 (90125865)
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研究分担者 |
長嶋 完二 群馬大学, 医学部, 講師 (00164418)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | MCNS / VPF / Tリンパ球 / CD4^4細胞 / リンフォカイン / less anionic albumin / pI / 糸球体基底膜陰性荷電 |
研究概要 |
われわれは微少変化型ネフロ-ゼ症候群(MCNS)患児Tリンパ球培養上清がモルモット皮膚の血管透過性(VPF)を亢進させること、さらにこの培養上清をラット腎動脈に注入することにより尿蛋白の出現と糸球体基底膜の陰性荷電の減少を見い出した。本研究ではまずVPFの由来がTリンパ球のどのsubsetから放出されるのかも検討し、さらにVPFとIL-1やIL-2などのリンフォカインとの関連性を検討した。その結果、Tリンパ球subset別培養上清のVPF assayによりVPFがCD4^+細胞より放出されることが明らかとなった。さらに、培養上清中のIL-2濃度をELISA法で測定し、VPF活性との関連性について検討したが、有意の相関はなかった。また、抗ヒトIL-1およびIL-2抗体による培養上清中和試験後のVPF活性を検討したが、VPF活性はこれらのリンフォカインにより中和されず、VPFはこれらとは異なるものであることが明らかとなった。以上よりMCNSでは何らかの機序により機能亢進をきたしたCD4^+細胞より放出されるリンフォカインが糸球体基底膜の陰性荷電を減少させることにより蛋白尿が出現するものと推定される。一方、MCNS患者血清及び尿中アルブミンの等電点が変化するために蛋白尿が漏出するとする報告もみられている。われわれはMCNS患児尿よりアルブミンを分離精製し、その等電点及びラット腎糸球体基底膜透過を検討した。その結果、MCNS患児尿中アルブミンの中にはpIの高いless anionic albuminが存在することが確認された。さらに、患児尿中アルブミンのラット尿蛋白やラット糸球体基底膜陰性荷電に対する影響を検討した。その結果、このアルブミンがラット糸球体基底膜の陰性荷電を減少させ、尿蛋白を増加させることが明らかとなった。 以上より、less anionic albuminが糸球体基底膜の陰性荷電を中和することにより蛋白の透過性が亢進することが推定され、このことがMCNSにおける蛋白尿出現の機序の一つになりうる可能性もあると考えられる。
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