1.東南アジアを中心とした国からパンの木の種子を集め各バッチから抽出したレクチン(ジャカリン)とヒト各種免疫グロブリンとの反応を調べた。沖縄産:1gA_1の他IgA2m(1)、1gM、1gD、1gEと反応、シンガポール産:1gA_1の他1gM、1gD:1gEと反応。マニラ産(1):1gA_1とのみ反応、マニラ産(2):1gG以外の他の全ての免疫グロブリンと反応した。 2.IgA_1とのみ反応するジャカリンは、1gA_1分子のヒンジ部分に存在するGalβ1-4GalNA_c糖鎖と結合する。1gDにも同じ構造の糖鎖があるが、シアル酸が末端に付着しているため反応しない。他のクラスないしサブクラスの免疫グロブリンにあるGal.βl-4Gl_cNA_cやGal_βl-6Gl_cNA_cとは結合しない。この研究のため新しく定量的ラテックス凝集反応法を開発してジャカリン-lgA_1反応を調べた。 3.ジャカリンアフィニティークロマトグラィー法による分泌型lgAのサブクラスへの分離。 前述のジャカリンをセファロースに固定化しカラムを作製し、母乳から精製したlgAをアプライした。非吸着lgAは1gA_2のサブクラスであり、ガラクトースで溶出した吸着lgAはlgA_1サブクラスであった。母乳中の分泌型lgAのサブクラス比はlgA_1:lgA_2=5:5〜7:3と母乳のバッチの違いにより異なった。
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