1.Jacalin親和カラムを使い、ヒト初乳から精製した分泌型IgAを二つのサブクラスに分離することができた。インフルエンザ桿菌、肺炎双球菌、髄膜炎菌からえたIgA分解酵素は、正常成人血清及び分泌型IgAIによりいずれも不活性化された。この抗IgAプロテア-ゼ活性はsIgAのSC分子にはなくFabフラグメントにあること、すなわちsIgAI抗体分子にあることを実験的に証明した。正常成人の場合は抗IgAプロテア-ゼ活性が、上記三菌に対する感染防御機構の一つとして働らいている。 2.フィリッピン産のJackfruitからえられるレクチンは、ヒト単量体IgGを除く全てのクラスの免疫グロブリンと結合することを見い出した。このレクチンで親和クロマトグラフィ-を行なうとヒト免疫グロブリン製剤から、IgA、IgM、IgD、IgEを除去することができる。IgA除去したグロブリン製剤は、IgA欠損症患者に安全に投与できる。 3.Jackfruitの種子を世界9ケ国から14検体収集し、その免疫グロブリン結合性を調べた。Artocorpus属の種は、A・heterophyllus、A・integer、A.lakoocha、A・tonkinesis、A・communisの5種である。後者四種類はヒトIgAIサブクラス及びIgD(4/5)と特異的に結合した。一方A・heterophyllusはその免疫グロブリン結合性が検体により著しい相違を示した。第一は、IgAI及びIgDの一部と結合するもの。第二はIgA2m(1)、単量体IgGと結合しないがそれ以外の全てのクラスの免疫グロブリンと結合するもの。第三は、単量的IgGと結合しないがそれ以外の免疫グロブリンと結合するもの。以上三種類に分けられた。最初免疫グロブリンの結合性の違いは、A・integerとhybrid形成しているためと考えたが、この説は否定された。さらに各レクチンの分子構造の相違も考えられたが、これも否定的である。
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