研究課題
一般研究(C)
重症筋無力症(MG)は神経筋接合部のアセチルコリン受容体(AChR)に対する自己免疫であることは確立された概念であるが、他方その臨床像は単一でなく多様性のあることが知られている。本研究の目的はMGの臨床的多様性と免疫遺伝的ベースとの関連を明らかにするとともに、さらに抗AchR抗体の反応力学的性質あるいはその成立機序との関連を明らかにしようとするものである。臨床的研究では、眼筋型MG(O-MG)および全身型MG(G-MG)と抗AchR抗体価、HLA、Gmとの関連あるいは臨床的経過とこれら免疫遺伝的マーカーとの関連を検討した。O-MGでは抗AchR抗体価が相対的に低く、HLA-DRw9と、リンクしており、一方G-MGでは抗AchR抗体価が高くHLA-DRw8とリンクしていることが明らかとなった。さらにO-MGに比べGMGでは自己抗体の陽性率が高く、寛解率も少ないことが示された。(J.Neuroimmunol、18、171、1988)これはHLA-DRw8にリンクしたG-MGでは自己免疫反応が病態の主役を演じているのに対し、HLA-DRw9にリンクしたO-MGではそれ以外の因子の関与が大きいことを示唆している。実験的研究ではこの点を解明するためO-MGおよびG-MGの抗AchR抗体と眼筋および四肢筋のAchRとの反応力学を検討した。O-MGではむしろG-MGに比べいずれの筋のAchRに対しても親和性の高いことが明らかとなり、G-MGは胸腺を場とした自己免疫が病態の主役であり、O-MGはビールス感染等による一般的自己免疫反応が眼筋の組織特異性故に眼筋に顕性化したものであるという推論が裏付けられた。(J.Neuoimmunol.,21、227、1989)さらにこれらの知見るにより、免疫遺伝学的ベースの相違を基礎にしたMG治療の方法論の検討の必要性が示された。
すべて その他
すべて 文献書誌 (2件)