<緒言> 好中球が活性化される際、細胞内外にリソソーム内の物質が放出される。それら生物学的活性を有する物質のうち、ミエロペルオキシダーゼの血清中の活性を測定し、炎症性疾患における意義を検討した。 <方法> 血清中ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性測定法は、鈴木の方法に準じた。反応系として、1.6mM tetramethylbentizine、80mMクエン酸緩衝液(pH5.4)、0.3mMH_2O_2、8%NN-dimethylformamide、40%PBSに血清を添加し、37℃、3分間反応させ、反応停止液として、200mM酢酸ナトリウム液(pH3.0)を加え、酸化されて青緑色に変化したtetramethylbentizineを波長655mm吸光度を測定し、吸光度値をもってMPO活性値とした。 <結果と考察> 健康人血清では本反応はすべて陰性であった。、炎症性疾患患者の血清では本反応は陽性であった。本反応陽性の血清を用いて、本反応における至適血清量を検討した。血清量150ul近くまで、吸光度値と血清量の間に直線関係が存在したので、以後用いる血清量は100ulとした。MPO活性測定に関して基質特異的な方法はいまだ開発されていない。それ故、血清の本反応がMPO活性をみているのか疑問が残る。急性期反応性蛋白のなかではセルロプラスミンが酸化作用を持っている。そこでMPOの阻害剤としてNaN_3を本反応に添加した系、反応系からH_2O_2を除いた系を検討した。この2つの系では共に本反応は陰性となった。又セルロプラスミンのベンチジン誘導体の酸化反応では、反応時間が12〜24時間も必要である。先の結果と考え合わせて本反応でのセルロプラスミンの関与は小さいものと考えられた。以上のことから本測定法はMPO活性を測っているものと結論した。 <今後の研究> 川崎病と他の細古性感染症やウィルス性感染症におけるMPOの動態について検討したい。
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