〈緒言〉各種炎症性疾患における血清ミエロペルオキシダ-ゼ活性の意義について検討した。 〈方法〉血清中ミエロペルオキシダ-ゼ活性測定法はSuzukiの方法に準じた。今回の研究対象となった疾患は呼吸器感染症、尿路感染症、川崎病、リンパ節炎、アレルギ-性紫斑病、膿痂疹、急性虫垂炎、気管支喘息(発作時)、血小板減少性紫斑病、急性糸球体腎炎で血清数はのべ87検体であった。血清採取時に白血球数、好中球数、CRP値を測定した。 〈結果と考察〉血清ミエロペルオキシダ-ゼ活性値と各種疾患において、疾患特異性は存在しなかった。CRP値によって7群に分け、活性値との関係を検討した。CRP陰性群とCRP陽性各群の間でt-検定を行ったところp<0.01で有意差が認められた。CRP陽性各群間では平均値に正の相関が認められたが、n値にバラつきが大きく有意差は認められなかった。次に白血球数、好中球数と活性値との関係をみたが、それぞれ明らかな相関は認められなかった。以上より本反応は疾患特異的な反応ではなく、acute phase reactantのような性格を有する反応と考えられる。 川崎病における血管炎の発生機序には活性酸素が深く関与している。そこで川崎病6症例において血清中ミエロペルオキシダ-ゼ活性値を経時的に測定した。病初期にはすべての症例で活性値の増大が認められたが、冠動脈の変化のある症例とない症例で以降の活性値の推移に明らかな差は認めなかった。川崎病患者の急性期の血清には血管内皮細胞の増殖と促進する物質の存在が知られ本疾患の病態を考える際には血清因子の解明が重要と思われる。今回の検討では6症例と少数であり更に症例数を増やして検討していきたい。
|