〈緒言〉各種炎症性疾患における血清ミエロペルオキシダ-ゼ活性の意義について検討した。 〈方法〉血清中ミエロペルオキシダ-ゼ(MPO)活性測定法は反応系として、1.6mM tetramethylbentizine、80mMクエン酸緩衝液(pH5.4)、0.3mM H_2O_2、8%N、N-dimethylformamide、40%PBSに血清を添加し、37℃、3分間反応させ、反応停止液として200mM酢酸ナトリウム液(pH3.0)を加え、酸化されて青緑色に変化したtetramethylbentizineを波長655mm吸光度を測定し、吸光度値をもってMPO活性値とした。研究対象となった疾患は呼吸器感染症、尿路感染症、川崎病、リンパ節炎、アレルギ-性紫斑病、膿痂疹、急性虫垂炎、気管支喘息(発作時)、血小板減少性紫斑病、急性糸球体腎炎で血清数はのべ87検体であった。血清採取時に白血球数、好中球数、CRP値を測定した。 〈結果と考察〉血清ミエロペルオキシダ-ゼ活性値と各種疾患において、疾患特異性は存在しなかった。CRP陰性群とCRP陽性各群の間で有意差が認められなかった。白血球数、好中球数と活性値との関係をみたが、それぞれ明らかな相関は認められなかった。以上より本反応は疾患特異的な反応ではなく、acute phase reactantのような性格を有する反応と考えられる。 川崎病における血管炎の発生機序には活性酸素が深く関与している。そこで川崎病6症例において血清中ミエロペルオキシダ-ゼ活性値を経時的に測定した。病初期にはすべての症例で活性値の増大が認められたが、冠動脈の変化のある症例とない症例で以降の活性値の推移に明らかな差は認めなかった。
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