研究課題/領域番号 |
63570449
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
横田 俊平 横浜市立大学, 医学部小児科, 助手 (10158363)
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研究分担者 |
松山 秀介 横浜市立大学, 医学部小児科, 教授 (20045983)
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キーワード | 全身性エリテマト-デス / モデル・マウス / MRL@lprマウス / TGFβ / T幹細胞 / 単クロ-ン抗体 / T細胞分化 / c-myb癌遺伝子 |
研究概要 |
全身性エリテマト-デス(SLE)は、自己免疫現象を基盤とする全身の血管炎を本態とする慢性疾患である。とくに小児では、腎・中枢神経系・肺などの主要臓器に早期に炎症がおよび重症の経過をとる例が多く、病因の究明が急務である。私達は、SLE自然発症マウス:MRL/Iprをモデルとして、SLE発症の機構について解析を行ってきた。このマウスは、(1)生後2-3ヶ月より血清学的にSLEに類似の所見を呈するようになり、この時期に平行して末梢リンパ節腫大が著明となる。(2)このリンパ節腫大は、未熟なマ-カ-をもつT細胞が集簇するためである、などよりこの異常細胞がSLEの病因を考える上で重要な位置を占めていると考えられている。これまでの私達の研究により、(1)この異常細胞は、T系細胞であること、また(2)核内癌遺伝子であるc-mybを構成的に発現していること、(3)このc+myb遺伝子はRMAとカルシウム・イオノフォア-で細胞の活性化を図ると消腿すること、などが明らかにされた。そして正常のT細胞系の成熟過程でもc-mybを発現する段階があることが知られ、lpr-T細胞がこの成熟段階のどこに位置するか、この段階で成熟が休止する細胞要因としてどのような因子があるか、などを検討した。まずlpr-T細胞を純化する方法として、抗Lyt-2および抗L3T4抗体と補体による処理で98%まで純化が可能となった。(dnT細胞)。ついでこのdnT細胞の培養上清中には上皮増生因子と共同して機能するTGFβ様因子が存在することを明らかにした。TGFβは免疫担当細胞に抑制的に作用することが知られており、この免疫系への働きがSLE発症の引金になっているのかも知れない。さらに私達が作製したT系幹細胞を認識する単クロ-ン抗体:Sca-Sca-2をあらたに導入して検討した結果、dnT細胞はT系幹細胞に近いごく未熟なT細胞であることが明らかになった。
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