百日咳全菌体ワクチン接種により、ショック死を起こすことがある。その機序には百日咳毒素によって起こされる自律神経調節の異常が関与するといわれている。百日咳毒素の心筋細胞に対する作用は、生化学的にはカテユ-ルアミンに対する反応性の増大と、アセチルユリンに対する反応性の低下として現れる。本研究は百日咳毒素投与下で、心筋の力テコ-ルアミンとアセチルユリンに対する反応性の年齢的変化を電気生理学的な立場から明らかにすることが目的である。成犬においては、百日咳毒素投与群では非投与群に比し、イソプロテレノ-ル投与による基礎心拍数の増加が充進し、アセチルユリン投与による基礎心拍数の減少は軽度であった。新生仔犬では百日咳毒素投与群と非投与群で、β受容体刺数に対する反応性に差はなく、成犬に比し反応性は低下していた。 新生仔犬では交感神経分布が未完成と言われており、β受容体あるいはGTP結合蛋白に年齢的差異があるため、成犬と新生仔犬とでイソプロテレノ-ル負荷による陽性変時作用に差が生じたものと思われる。
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