研究課題/領域番号 |
63570458
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
柴田 利満 東京女子医大, 付属日本心臓血圧研究所小児科, 助手 (00138893)
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研究分担者 |
松本 康俊 東京女子医大, 付属日本心臓血圧研究所小児科, 助手待遇
高尾 篤良 東京女子医大, 付属日本心臓血圧研究所小児科, 教授 (70075167)
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キーワード | 収縮速度 / 動的スティッフネス / ミオシン・アイソフォーム / イソプロテレノール / バリウム拘縮筋 |
研究概要 |
本研究では、ラット(10週)とウサギ(生後0日、1週、1ヶ月、4ヶ月)の摘出乳頭筋を用い、心筋収縮速度の生理学的測定を行った。乳頭筋をバリウム拘縮状態にし、0.05〜30Hzの正弦波状微小筋長変化(△L)を与え動的スティッフネス(△F/△L)を計算し、スティッフネスが最小値を呈する周波数(fmin)を求めた。fminは種々の実験結果よりクロスブリッジの能動的動きにより出現すると考えられ、また、クロスブリッジの周期的動きの速さを決めるミオシンATPase活性と良く相関する。よって、fminは心筋の収縮速度を反映すると考えせれる。ラットおよびウサギ(4群)においてfminを指標に収縮速度を求めるとともにその心室筋のミオシン・アイソフォームを電気永動法で測定した。また、fminに及ぼすイソプロテレノールの影響も研究した。本年度は以下4項目の研究成果が得られた。(1)収縮速度の指標fminは心筋ミオシン・アイソフォームと良い相関(相関係数r=0.92)を呈した。(2)イソプロテレノールは収縮速度の速いラット心室筋(αタイプ)と遅いウサギ心室筋(βタイプ)のfminに同程度の効果をもち共にfminを20%上昇させた。fminはミオシンATPase活性を反映するので、イソプロテレノールはミオシンATPase活性を修飾していることが推測された。(3)発育における心筋収縮速度の推移をfminで求めた。生後0日、1週、1ヶ月、4ヶ月のウサギのfminは、それぞれ、1.8±0.1Hz、2.2±0.1Hz、1.9±0.2Hz、1.2±0.2Hz(各n=5)で従来報告されている生化学的データと一致した生理学的データを得た。(4)収縮速度の異なる各発育段階のfminに及ぼすイソプロテレノールの影響には差異があり、生後4ヶ月では20%、1ヶ月では7%の増加を認めたが、生後1週と0日ではまったく増加を認めなかった。
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