研究課題/領域番号 |
63570459
|
研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
嶋武 博之 東邦大学, 医学部, 助教授 (40010110)
|
研究分担者 |
青木 継稔 東邦大学, 医学部, 教授 (50057585)
菊池 孝信 東邦大学, 医学部, 助手 (50177797)
|
キーワード | 小児癌 / 抗N-myc抗体 / N-mycタンパク / 神経芽腫 / 網膜芽腫 / 免疫組織染色 / ウェスタンブロット法 / N-myc遺伝子増幅 |
研究概要 |
昨年度にひき続き、本年度以下の研究を行なった。N-myc遺伝子は、神経芽腫や網膜芽腫など特定の小児悪性癌に限定して、その発現が認められている癌遺伝子の一つであり、myc癌遺伝子ファミリ-に属する。神経芽腫で数十倍におよぶN-myc遺伝子の増幅があり、その増幅程度と神経芽腫の悪性度とは強い相関があるといわれている。しかしながら予後不良例においてもN-myc遺伝子の増幅の全く認められない症例が見出されており、遺伝子増幅そのものよりはN-mycタンパクの発現量が神経芽腫の悪性度を規定している可能性がある。悪性の経過をとった神経芽腫の手術摘出組織をSouthern blot法で調べたところN-myc遺伝子の増幅は見られず、かつ多量のN-mycタンパクが発現されており、M-mycタンパクの発現は遺伝子増幅によってのみ起こっているのではないことが明らかになった。神経芽腫の悪性度を判定するためには遺伝子増幅だけでは不十分であり、N-mycタンパクの発現を調べることが必要であることが示唆された。網膜芽腫の臨床例6例では全例でN-myc遺伝子はsingle copyであったが、N-mycタンパクはいずれの症例でも陽性であった。また網膜芽腫ではN-myc遺伝子増幅が起こっているものは、神経芽腫(全症例の30%)と比べて非常に少ないことが明らかとなった。さらに、小児癌などにおけるN-mycタンパク量を定量化するために、抗pan-myc抗体の抗原となるpan-mycqタンパク、およびN-pan-myc融合タンパクの大腸菌内での遺伝子工学的発現系(プラスミド:pCA221,pCA216)を確立し、この融合タンパクを量産、精製した。この融合タンパクをスタンダ-ド抗原として用いたサンドイッチ型ELISA法による高感度定量法を開発中である。
|