研究課題
1.小児の高脂血トラッキングについて:戸田は、学童327名を対象に6年間隔における血清コレステロール(TC)のトラッキング現象を証明した。引き続き、トラッキングの背景分析として、学童の肥満後の変化と血清脂質・リポ蛋白コレステロールの変化、との関係を上記と同じ対象について検討し、男児に特に著明な肥満の程度の増加に伴い、TCの増加、HDL-Cの減少、動脈硬化指数の増加が明らかとなった。女児では肥満度が増加しても男児程に、強い動脈硬化促進的な血清脂質の様相はみられず、肥満の性質、血清脂質が性ホルモンと関係すると考えられた。2.血圧の経年的変化:同一対象学童を小学1年から6年まで縦断的に追跡した。(1)男女とも生涯で始めて血圧測定を受けたという経験から、男女とも初回年度の血圧高値を示した。(2)男女とも小学3年から体格との相関が明らかとなった。(3)身体的発育程度の推移と血圧との関係は、男に強く認められた。(4)血圧のトラッキング傾向は、TCのそれより弱いながら、認められた。3.(一次性)高脂血症小児の高脂血型分類の検討:中学1〜3年生、TC200mg/dl以上の311名に対し、また特殊外来通院の高脂血症の小児81名に血清脂質、リポ蛋白コレステロールの他にリポ蛋白電気稼動を行い、型分類を行った。学校検診でスクリーニングされた高脂血者の91.2%はIIa、7.6%がIIbであった。特殊外来の内20名は家族性高脂血症であった。脂肥児の型分類は多彩で、IV、V型も含まれたが、IIa、IIbが主体であった。またβ/α比の増加は、高度肥満で肝障害例に顕微であった。4.小児の年齢別血圧値と血清脂質との相関性:中学生1800名を対象に行った。肥満・高脂血症・高血圧の頻度は各々7.7%、17.1%、3.4%であった。高血圧児の61名については、正常血圧児と比べて、有意にTCは高値で、HDL-Cは低値であった。複数の危険因子を合併する傾向が明らかである。今後、本態性高血圧、小児肥満の成図、アポ蛋白について検討する。
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