研究課題/領域番号 |
63570462
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
日高 敏博 久留米大学, 医学部, 助教授 (10113234)
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研究分担者 |
〓山 正康 久留大学, 医学部, 助手 (40154504)
猪口 隆洋 久留米大学, 医学部, 助手 (00191891)
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キーワード | ライ症候群 / 燐脂質中脂肪酸 / プロスタグランジン |
研究概要 |
ライ症候群は、脳浮腫、脂肪肝、肝機能障害をおこし高アンモニア血症、低血糖などを伴い急速に意識障害やけいれんに陥る死亡率の極めて高い原因不明の急性脳症である。特に脂肪肝は核を中心に保持したまま脂肪滴が蓄積するという特徴的なものでありライ型脂肪肝とよばれている。ミトコンドリア異常に起因した疾患とされているが、その死因については不明な点が多い。今回、われわれは、ラットにこのライ様症状を引き起こすとされている。4ーペンテン酸をラットに投与し、ライ型脂肪肝を作成し、ラット肝における、ミトコンドリアおよびミクロソーム膜のリン脂質脂肪酸組成、ミクロソームにおけるPG合成能ならびに16、16ジメチルPGE_2投与における効果を検討した。本薬を投与すると、ラット肝において、ミトコンドリア膜とミクロソーム膜のリン脂質脂肪酸組成に明らかな変化がみられた。両者とも同じ傾向で特に、全monoeneの上昇、ω6系列のγーリノレン酸(18:3)の増加、ホモーγーリノレン酸(20:3)の減少、EPA/AA ratioの減少、ω3系統の減少がみられた。この結果はβ酸化障害による脂肪酸の蓄積と脂肪酸合成でのelongationの低下で説明可能であった。ミクロソームの^<14>Cアラキドン酸からのPG合成能は低下していた。16、16ジメチルPGE_2は、4ーペンチン酸によるライ型脂肪肝発生に顕著な抑制効果を示した。以上の結果より、本疾患の発症にプロスタグランディンの関与の可能性が強く示唆された。
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