研究概要 |
Reye症候群の肝傷害、脳浮腫、免疫系の性状を動物モデルを使って追及しているが、今回は脳浮腫と免疫系に対する4ーpentenoic acid(4pA)とマルゴサオイルの影響を検討した。 1)脳浮腫との関係 ラットの脳スライスを用手的にかみそりで作成し、等張燐酸バッファ中で4PAまたはマルゴサオイルと反応させ、更に、カルシュウムイオノフォアを追加して反応を続けた。反応前とそれぞれの反応後に重量を測定した。更に、反応に使用した脳切片を乾燥して重量を測定し、湿性重量より差し引いて水分量とした。マルゴサオイル(MO)と反応させるとスライス中の水分量の増加が見られたが濃度依存的でなかった。 2)免疫系との関係 細胞性免疫と液性免疫の分岐点になっているマクロファ-ジを用いて4PAの影響を検討した。マクロファ-ジに分化するとされているU937細胞とHL60細胞を使用した。この2つの細胞は4PA 40μl/15mlで増殖が25%まで抑制される。この濃度以下を使用して、hydroxyeicosatetraenoic acid(HETE)とleukotriene(LT)産生能を検討した。マクロファ-ジは大量のHETE,LTを産生する細胞で、上記の細胞も産生能が報告されている。しかしUV感度でのHPLC分析では、これらの継代細胞を使用した実験は感度の点から不可能であった。マウスの腹腔内マクロファ-ジではアラキドン酸とカルシュウムイオノフォアの存在下で15ー,12ーと5ーHETEとLTC4が産生され、担癌マウスでは微妙な変化が見とれるが、このような細胞系を用いた場合、4PA 18時間処理によりHETE,LTC4の低下傾向を認めたが細胞当たりに換算すると有意差が有りそうになく、現在注意深く検討中である。4PA処理中のメジュ-ムにもHETE,LTC4は放出されなかった。
|