研究課題/領域番号 |
63570465
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
三橋 善比古 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (30157557)
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研究分担者 |
沢村 大輔 弘前大学, 医学部, 助手 (60196334)
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キーワード | 7型コラ-ゲン / anchoring fibril / 先天性表皮水疱症 / 免疫組織学 / 電顕 / 2相分離細胞培養法 |
研究概要 |
7型コラ-ゲンはanchoring fibrilを構成する主要なコラ-ゲン蛋白である。我々はこれまで、健常皮膚の表皮基底膜部に7型コラ-ゲンが存在すること、重症劣性栄養障害型先天性表皮水疱症では7型コラ-ゲンが欠損していることを明らかにしてきた。平成2年度の研究においては、表皮基底膜部における7型コラ-ゲンの生成機序を知るために、過去2年間の研究期間の間に我々が考按し、開発した、2相分離細胞培養法を用いて検討した。この方法は、コラ-ゲン膜の上面には表皮細胞を、下面には線維芽細胞を同時に培養する方法である。コラ-ゲン膜の上面に表皮細胞のみを培養したときと、2相分離細胞培養を行ったときの、基底細胞下面のコラ-ゲン膜との接触部における7型コラ-ゲン/anchoring fibrilの生成状態を、電顕的および免疫組織学的に比較検討した。用いた抗体は、7型コラ-ゲンのC末端を認識するモノクロ-ナル抗体(Chemicon社)である。14日間培養を行い検索した結果、表皮細胞のみを培養したときは、電顕的にanchoring fibrilは見られず、免疫組織学的にも陽性反応は見られなかったが、2相分離細胞培養法を行ったときは、電顕的にanchoring fibrilはみられなかったものの、免疫組織学的に基底細胞下面に抗7型コラ-ゲン抗体との弱い反応を認めた。反応の特異性についてさらに検討する余地はあるが、この結果は7型コラ-ゲンの、少なくともC末端は、形態学的なanchoring fibrilの形成以前に分泌されていることを示唆する所見である。また、7型コラ-ゲンの生成は、表皮細胞と線維芽細胞の共同作用によって行われているか、あるいは共同作用によって促進されてることが示唆される。表皮基底膜部の7型コラ-ゲンが欠損している、重症劣性栄養障害型先天性表皮水疱症患者の線維芽細胞を用いる実験は、当該患者の線維芽細胞の採取が困難で、今年度中に行い得なかった。
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