本年度の研究に於いて以下の3点についての知見を得たので各々、第13回日本研究皮膚科学会、第39回日皮会中部支部総会、第288回大阪地方会について報告した。I)尋常性白斑に於いてsuction blister methodを用い、白斑表皮IL-1活性を測定し、同時に白斑病巣部に健常表皮の移植を行った。その結果pigment spreadをきたし治癒にむかうものと移植表皮が白斑化するものが見られた。IL-1の測定はマウス胸腺細胞によるcon-A-Co stimulator assayにて行い、表皮乾燥重量当たりの単位を得た。白斑病巣表皮で斑点IL-1活性の低下している群と低下していない群を見い出した。同時に施行した健常皮膚移植部の白斑の再発はIL-1活性の低下していない症例群に多く認められた。また同一病巣内の異なる時期の白斑についても同様傾向をみた。II)白斑病巣表皮内Langer hans細胞の形態をATPase法、HLA-DR、OKT6法で検索した。ステロイド、PUVA治療後ではこれらのマーカー陽性細胞の密度は著効群で大きく減少し、逆に難治群では減少は少なかった。特に急速拡大中の白斑病巣において治療によるLangerhans細胞の減少率は低かった。以上の所見より白斑難治部や急速拡大部ではantigen-presentationを行うと考えられるLangerhans細胞の各種マーカーが治療によっても低下しないことが推察される。III)Langerhans細胞の標識活性がステロイド外用とPUVA療法後にはっきり減少を示すnon-progressive phaseの病変部では、吸引剥離表皮移植療法(SBT)の予後の良好であった。逆にあまり減少を示さないprogressive phaseの病変部では、SBTの予後が悪く移植皮膚が再び白斑となった。
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