メラニン生成活性に依存することなく^<10>B元素を黒色腫細胞に集積させる目的で、黒色腫細胞関連抗原に対するモノクロ-ナル抗体(MoAb)に^<10>Bを結合させ、熱中性子照射で癌細胞を選択的に殺傷する研究を展開してきた。 〈方法と成果〉1.抗体と細胞の選択:黒色腫細胞1個当り2×10^6分子の結合性が明らかにされている763.74抗体とヒト黒色腫細胞を結合させ、蛍光強度分析で本抗体を最も多く結合するP22細胞を得た。 2.抗体1分子に約10^3個の^<10>B元素が結合すれば、癌細胞1個当り約10^9個の^<10>B元素が結合することとなり、本療法成功のための理論値となる。研究者らはアビディン・ビオチン法を応用した。このP22にヒオチン化763.74Tさらに^<125>Iでラベルされたアビディンを反応させ、その放射活性より細胞1個当りに集積されるアビディン数を算出すると3.84×10^6となり^<10>B元素数では1.6×10^8で目標とする1×10^9にかなり近付いていることがわかった。 3.^<10>B-モノクロ-ナル抗体を用いた熱中性子照射による黒色腫細胞致死効果:P22に^<10>B-アビジン・ビオチン抗体処理後直径1cmのテフロンチュ-ブ数本に各々1.5×10^5個細胞を浮遊させ、コロニ-法で致死効果をみた。^<10>B-アビディン-ビオチン-MoAbが結合したP22細胞はコントロ-ル抗体で同操作を行ったものに比べ明らかな致死強大効果を認めた。 〈反省と展望〉^<10>B-モノクロ-ナル抗体をアビディン・ビオチン法でヒト黒色腫細胞に集積できることが明らかであり、この成果に基き、ヒト黒色腫担癌ヌ-ドマウスで^<10>Bを集積させる条件を求め、ヒト治療への道を拓きたい。
|