(1)核分画の精製:スンクスのジャコウ腺を切除し、0.88M庶糖液にけん〓し、1.8M、2.2M庶糖液の上に重層し、1.7×10^4rpm.90分遠心した。しかし、組織中の脂質が多いためか、大部分は最上層に厚い膜となって溜まり、精製核を得ることはできなかった。そこで、ジャコウ腺を0.25庶糖液中でホモジナイズし、800×gで遠心後、沈渣を1.0M庶糖液にけん〓、1.4M液上に重層、9500rpm、30分遠心し、得られた沈渣を核分画として用いた。しかし、この核分画のprotein/DNAは12〜25と高く、800×gの沈渣とほとんど同じ値であった。(2)こうして得られた精製核も含めて、各分画の5α-reductase活性を測定したところ、全活性の58%が粗核分画(800×g、沈渣)、21%が精製核分画に、27%がサイトゾール分画に認められた。ミトコンドリア、ミクロゾーム分画にはそれぞれ約8%の活性が認められた。すなわち、サイトゾール分画にも明らかに高い5α-reductase活性が見られたことが特異であった。サイトゾール中のDNA量は精製核分画の20%以下であるので、単に核の5α-reductase活性がサイトゾールに混入したものとは考え難い。また、蛋白当り比活性としても、精製核、サイトゾール間に差を認めなかった。比較のために、ヌードマウスに継代している。ヌンスクのアンドロゲン反応性毛包脂腺腫瘍について同様の実験を行なったところ5α-reductase活性は精製核分画とミトコンドリア分画にあわせて約80%が局在した。また、精製核分画はサイトゾール分画に比べて、蛋白当りの比活性において15倍の高値を示した。(3)ホモジネートを用いた予備実験において、Km値を異にする二種の5α-reductase(1.5×10^<-6>Mと3×10^<-5>M)の存在を示唆する成績が得られたので、核分画、サイトゾールを0.07〜50μMのH^3-テストステロンとインキュベートし、それぞれのKm値を求めた。しかし、いずれの分画でもsaturation curveに変曲点はなく、Km値は10^<-5>Mのオーダーにあると推測された。
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