(1)マウスB細胞株ORAに対する抗腫瘍活性発現機序の検討を、BALB/Cマウスを用いて行なった。ORAを8-MOPとUVA照射処置を行ない、BALB/Cマウス背部に皮下注射し、1ケ月後に無処置ORAを背部に皮下注射してその腫瘤の発育を経時的に検討した。8-MOP+UVA処置ORAの前感作を行なったマウスでは、皮下注射により接種したORAの脱落が著明であった。そこで、このBALB/Cマウスの抗ORA抗腫瘍活性について、in vitroの系で検討中である。また、in vivoの系においても、この抗腫瘍活性を阻害する因子についても検討してゆく予定である。(2)皮膚、リンパ節、末梢血液より得られたリンパ球よりDNAを取り出し、サザンブロット法によりT細胞受容体の単クローン性再構成について検討した。菌状息肉症腫瘤期、扁平浸潤期の皮膚、リンパ節では、再構成が認められたが、紅斑期では現在まで再構成が認められていないが、検討中である。ATLでは、皮膚、末梢血液ともに再構成バンドが認められた。菌状息肉症末梢血については、ILー2とともに培養し、その培養細胞についても検討する予定である。(3)菌状息肉症患者末梢血液リンパ球の腫瘍性T細胞株に対するキラー活性、NK活性、LAK活性を検討した。患者リンパ球を1週間、IL-2とともに、培養することにより、明らかにキラー活性の増強が認められた。しかし、腫瘍性T細胞株であるHUT78、HUT102に対するキラー活性は明確でなかった。また、患者末梢血リンパ球の培養株に対するMLTRにおいても、HUT78、HUT102に対する反応は低かった。(4)菌状息肉症をはじめとするCTCLはヘルパーT細胞性リンパ腫であるが、同じヘルパーT細胞リンパ腫であるATLとの間に表面膜形質に差異があるかの検討を行なった。CDu29、CD45R、CD7、CD25など発現に特異のある抗原が多数認められた。反応性疾患についても検討中。
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