研究概要 |
Langerhans cell(LC)は表皮内で唯一のIa抗原陽性の表皮細胞(EC)であり、機能的には種々の免疫応答に際し抗原提供細胞Antigen Presenting Cell(APC)として働くと考えられている。我々は従来よりin vitro cytotoxic T lymphocyte(CTL)誘導の系を用いてLCのAPC機能について比較検討し、1)脾のIa^+ーadhernt cell(Mφ)とLCとの間、2)マウス耳LCと尾LCとの間にAPCとしての機能的異質性が存在することを見出し、既にこれらについては報告した。一方組織培養がLC細胞表面のIa抗原量を飛躍的に増加させ、LCを機能的に"成熟"させる(Schuler & Steinman:J Exp Med,161,526,1985)ことから、我々はCIL誘導の混合培養前にLCを含むECをpre-culture L、組織培養がLCのAPC機能に及ぼす影響を検討する目的で研究活動を行ない、本年度は以下の実績を得た。 1.組織培養がマウス尾LCのAPC機能に及ぼす影響についての検討 CTL誘導に際し尾LCにAPC機能は全く認められない。しかし48時間の組織培養により尾LCのIa抗原量の著明な増加とAPC機能の明らかな"復活"が認められ、尾LCもAPC機能をもつことがはじめて証明された。通常の尾LCにおけるAPC機能の免疫抑制機序の検討が来年度の課題である。 2.LCのAPC機能亢進に至適な組織培養条件についての検討 培養48時間で著明なAPC機能亢進が認められ、以後はプラトーとなった。また培養液は胎児ウシ血清のみを含む簡易メディアで十分であった。組織培養に際し、ECとともに真皮成分を添加して培養するとEC単独培養に比して飛躍的なAPC機能の亢進が認められた。LCの組織培養における真皮の関与については今迄に報告が無い。恐らく真皮由来GM-CSFの関与が強く示唆されるが、そのメカニズム解明が来年度の課題である。 3.組織培養後LCの機能的特異性についての検討 抗Ia抗体+補体処理、紫外線(UV-B)照射により亢進した培養後LCのAPC機能は完全に消失した。Ia抗原量と機能亢進の程度は正比例した。
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